ISO 9001:企業の品質管理に不可欠な国際規格|ヨシダ検品株式会社
コラム

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ISO 9001:企業の品質管理に不可欠な国際規格


1. ISO9001の適用範囲の概要

1.1 適用範囲の定義

ISO9001の適用範囲とは、組織が自社の事業、製品、サービス、地理的拠点において、どこまでISO9001の要求事項を適用するかを定めることを指します。言い換えれば、適用範囲は品質マネジメントシステム(QMS)の境界と機能を規定するものであり、最終的には顧客満足の実現を目的とします。

国内規格の中には「全社適用」を前提とするものもありますが、ISO9001は組織の事業特性や構造、外部環境に応じて自主的に範囲を定義することを求めており、その合理性が問われます。

1.2 適用範囲を明確化する重要性

  • QMSが重要な業務・プロセスを適切にカバーできるか

  • 品質管理における責任と権限が明確であるか

  • 認証審査や内部監査が円滑に実施できるか

範囲が曖昧なままでは責任の所在が不明確になり、プロセスが部分的にしか管理されず、結果として品質管理全体の水準が低下するリスクがあります。

2. ISO9001適用範囲の決定ステップ

2.1 事業プロセスの特定

まず、組織の中核となる事業や主要なプロセスを明確にします。設計、製造、販売、サービスなどを対象に、プロセス同士のつながりと責任・管理ポイントを整理します。例:建設業であれば、設計〜施工〜アフターメンテナンスまでを範囲に含めます。

2.2 組織の境界を定める

適用範囲に含める部門、拠点、工場を決定します。本社や主要工場、品質に直結する部門は含めるのが基本です。品質に直接関与しない部門を除外する場合は、合理的な理由の明確化が必要です。

2.3 特殊事情と除外条項の評価

ISO9001の要求事項がすべての組織に適用できるとは限りません。例えば、製品設計を行わない企業は「8.3 設計・開発」を除外可能です。ただし、除外は顧客満足や適合性に影響を与えないことが前提であり、根拠の文書化が求められます。

2.4 文書化と内部承認

決定した適用範囲は、以下の内容を含めて文書化します。

  • QMSに含まれる業務、部門、プロセス

  • 除外事項とその合理的理由

  • 適用するISO9001の版

文書化により、内部管理や教育、認証審査の円滑化が可能となり、事業の変化に応じた更新も容易になります。

3. ISO9001適用範囲における重要ポイント

3.1 適用範囲と認証範囲の違い

  • 適用範囲:組織内でISO9001を運用する範囲

  • 認証範囲:第三者認証機関が承認する範囲

両者を混同しないよう注意し、文書や外部への情報発信で一貫性を保ちます。

3.2 文書化の要件

ISO9001では適用範囲を文書化し、次の情報を明示することが求められます。

  • カバーする製品・サービス・業務プロセス

  • 除外項目とその合理的説明

  • 適用される組織単位や拠点

3.3 正当性

除外が認められるのは、合理的かつ検証可能な根拠がある場合のみです。不十分な理由は認証に悪影響を及ぼします。

3.4 定期的な見直しと検証

適用範囲は一度決めて終わりではありません。事業の変化や新サービス導入に応じて、管理レビュー等で定期的に見直し・更新します。

4. 実施における留意点

4.1 全面適用 vs 部分適用

基本的には全社を対象としたQMS適用が望ましいです。品質文化が組織全体に浸透し、統一基準で業務遂行できます。部分適用とする場合は、顧客満足や適合性に影響を与えない正当な理由が必要です。

4.2 品質方針・企業戦略との整合性

適用範囲は企業の品質方針や戦略と一致している必要があります。たとえば「顧客体験」を重視する戦略なら、顧客接点を担う部署を広く含めます。

4.3 内部コミュニケーションと教育

決定した適用範囲は社員に周知し、責任の明確化と必要な教育を行います。部門間連携の促進にもつながります。

4.4 継続的改善と適用範囲の見直し

ISO9001は継続的改善を重視します。市場・顧客・製品の変化に応じ、適用範囲も柔軟にアップデートします。

5. 適用範囲が品質管理に与える影響

5.1 プロセスの標準化

主要プロセスをQMSに組み込むことで、作業手順や基準が統一され、人的ミスの低減と効率向上を実現。監査・改善活動の信頼性も高まります。

5.2 顧客満足度の向上

顧客に関わるプロセスを適用範囲に含めることで、要求やフィードバックに迅速かつ一貫した対応が可能になり、顧客満足を高めます。

5.3 リスク管理

適用範囲が明確であれば品質・業務リスクを特定し、予防措置を講じやすくなります。事故やクレームの発生率低減に寄与します。

5.4 継続的改善の推進

範囲の明確化はデータ収集・分析を容易にし、改善余地を特定。品質管理の成熟度を高め、組織の成長に貢献します。

6. よくある質問

Q1. ISO9001の適用範囲は随時変更できますか?

事業の変化に応じて変更可能ですが、管理レビューでの承認と文書化が必須です。

Q2. 中小企業はどのように適用範囲を定めるべきですか?

主要業務と顧客満足に関わるプロセスを優先して含め、除外には合理的理由を明記します。

Q3. 除外は認証に影響しますか?

顧客満足や適合性に影響を与えず、合理的な根拠を文書化していれば、認証への悪影響は原則ありません。

7. まとめ

ISO9001の適用範囲を明確にすることで、QMSをコア業務・重要プロセスに適切に反映でき、標準化・顧客満足・リスク管理・継続的改善を強化できます。これらの効果を最大化するには、信頼できる第三者検品会社とのパートナーシップが有効です。

ヨシダ検品株式会社は、世界26カ国・80拠点以上に常駐する技術検査員を擁し、アパレルから工業製品まで幅広い分野に対応。CNAS ISO17020、AQSIQ、ISO9001 など権威ある国際資格を取得し、国際基準に基づく高品質なサービスを提供します。工場監査、サプライヤー監査、製品テスト、現地認証など、サプライチェーン全体をカバーする包括的サービスをワンストップでご提供可能です。

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